【コラム】何故未だターンテーブルはDJ達から愛されるのか~タンテは何故無くならない?~

皆さんは「DJ」といえばどのようなイメージをお持ちでしょうか?

アナログターンテーブル」を使ってのDJプレイしか選択肢がなかった昔と比べ、「CDJ」がクラブやフェスなどで最もスタンダードなDJハードウェアとなり、また自宅のみならず、どこでも手軽に”DJ”が楽しめるスマホアプリ、持ち運びも便利なPCDJコントローラーの普及で「DJ=ターンテーブル」だった以前と比べて、DJを始めるためのツールが増え、より「DJ」が一般的で身近なものになりました。
クラブの現場でも世代で「ターンテーブルは知っているが触った事がないので使えない。」という若いDJが多くいるのも事実です。
では、「ターンテーブルを使うDJは今もういないのか?」といえば、それは「NO」。
今でもターンテーブルは音楽ジャンルによってはメイン機材として使われますし、一時期に比べて減りはしたものの、ターンテーブルからDJを始める方もまだまだ多くおられます。

今回は、未だ多くのDJに支持され、使われ続ける「ターンテーブル」にスポットを当てて、このデジタル時代に何故まだターンテーブルは無くならないのか?を考察してみたいと思います。

目次

ターンテーブルの魅力とは?

今年に入り、ターンテーブルの名機と呼ばれてきた「Technics / SL-1200」シリーズ最新作であり、実にTechnicsのDJ用ターンテーブルとしては9年ぶりとなる「SL-1200MK7」が発表され、高品質なDJ機材を提供し続ける【Reloop】からも、新たなターンテーブル「RP-8000MK2」の発表があったりと、これをきっかけにターンテーブルが再び盛り上がりをみせています。

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ターンテーブルでのDJプレイといえど、現在は完全にアナログオンリーというわけでもなく、2006年頃から徐々に普及し今では定番となっているPCと接続しての「DVS」がスタンダード。
上手くアナログとデジタルと融合したモデルも多数リリースされており、一定数の需要は変わらず在り続けています。

▼DVSについて詳しくはこちらをチェック♪

DVSとは?!?!(Scratch Live/Serato DJ,TRAKTOR SCRATCH、rekordbox DVSなど)

また前述したように、DJの扱う音楽ジャンルによってはターンテーブルがメイン機材となるシーンはいくつかあります。
その代表的なのが、「Hip Hop」を主軸に扱うDJではないでしょうか?

Hip Hop」は、音楽ルーツの中にターンテーブルを楽器としてレコードを使った「スクラッチ」や「ビートジャグリング」という技があり、それらは今もDJパフォーマンスの1つ、またはカルチャーの1つとして在り続けています。
また、それらの技術を競い合うDJバトルの大会では、時代と共にデジタルモデルの機能導入もありますが、基本的には今もターンテーブル+DJミキサーを使ってのルーティンが全体を大きく占めています。

その理由としては、ターンテーブルの操作子のサイズが大きく関わっています。
スクラッチやジャグリングなど、トリッキーなプレイをする際、手や身体で触れる事の出来る部分が大きいターンテーブルは非常に扱いやすくテクニカルなプレイもしやすいのです。

このように「Hip Hop」をルーツとしたDJスタイルには、ターンテーブルでしか出来ないプレイ/パフォーマンスが在り、CDJやPCDJコントローラーとはまた違ったターンテーブルの価値と必要性があるのです。
もちろん、CDJやPCDJコントローラーでも操作パネルやジョグが大きいモデルはありますが、ターンテーブルを使ったテクニカルなプレイを同じように行うとなるとやはり難しいものです。
となるとやはり、DJの醍醐味であるスクラッチなどのパフォーマンスを最大限に発揮できるという理由でターンテーブルを選ぶ方も多いですし、最近ではPCDJコントローラーからDJを始めたが、本格的にDJをしたいということで、ターンテーブルのDJセットへ買い替えをする方も増えています。

ターンテーブルにしか出来ない事

先程も少し触れたように、ターンテーブルの魅力の1つとして、そのサイズ感だからこそできるDJパフォーマンスを追求できるところではないでしょうか?
ここではスクラッチを例に、どのような所でターンテーブルの方がCDJ、PCDJコントローラーと比べて技を出しやすいのかを説明したいと思います。
スクラッチは基本、片方の手で「ヴァイナル(レコード)」を、もう片方の手でDJミキサーの「クロスフェーダー」を使い互いの動かすタイミングや速度を変えながら多種多様な技を繰り出していきます。

DJミキサーに搭載された「クロスフェーダー」に関しては、PCDJコントローラーでも最近のモデルはスクラッチ対応のフェーダーを採用するなど、パフォーマンス性に優れた性能を持ったモデルも多くリリースされていますので、スクラッチをする上で、そこまでDJミキサーとの差はないといえます。
しかし、ターンテーブルのプラッター(CDJ/PCDJコントローラーのジョグ)部分では、CDJ/PCDJコントローラーではその大きさもかなり変わってきます。
現時点で、ターンテーブルのプラッターと同サイズのジョグを搭載したCDJ、PCDJコントローラーは無く、唯一それに近いものとして”Rane / Twelve“が挙げられます。

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“Rane / Twelve”は、限りなくターンテーブルの操作性を追求しながらもコントローラーとしての機能も備えた全く新しい形のDJ機材として、DVSでプレイするDJから注目されている1台です。
CDJが主流となる今でも、このようなターンテーブルのサイズで新たな製品が開発され続けるのは、それだけこの大きさに拘るDJ/ユーザーが今も多く存在する事を意味していると思います。

では、ここで各DJ機材のプラッター(ジョグ)部分の大きさを比較してみます。

ターンテーブル:Pioneer / PLX-1000 CDJ:Pioneer / CDJ-2000NXS2
直径:332 mm 直径:202 mm
PCDJコントローラー:DDJ-1000 PCDJコントローラー:DDJ-400
直径:202 mm 直径:128 mm

見て頂くと解るように、プラッター(ジョグ)のサイズはそれぞれ異なります。
PCDJコントローラーも上位機種ではCDJと同サイズのジョグが搭載されていますが、”Pioneer/ DDJ-400”などのエントリーモデルに関しては、ジョグサイズも一回り小さいのがわかります。

次に、各DJ機材で同じスクラッチネタを開始~終了まで流した時に、動く幅がどれくらい変わってくるのか?
図を交えながら見ていきます。
スクラッチするネタは以下のものを使います。

▼使用ネタはこちら

スクラッチの定番ネタですが、音の開始~終了までの長さを時間で表すと1秒程。
秒数はどのDJ機材においても共通ですが、進む幅に違いが生じてきます。

▼Pioneer / PLX-1000

▼Pioneer / CDJ-2000NXS2

▼DDJ-400

ターンテーブルは操作子が大きい為、手の置く場所によっては、CDJやDJコントローラーと比べると外輪が長くなるので動かす幅にも違いが生じます。

このように、同じ音ネタでも操作子の大きさで「動く・進む幅」も異なってきます。
となると、「動かす幅が少ないCDJやDJコントローラーの方が楽に出来て良いのでは?」と思う方もおられるでしょう。
確かにヴァイナルでも、内側寄りに手を置く事で動かす幅も少なくすむので、スクラッチの技によっては内側を使う事もあります。

スクラッチは、両手のタイミングを合わせないと音が上手く出ない技も多く、ヴァイナルの細かい動きや、時には粗い動き、どちらにも対応できる大きさのプラッターを持つターンテーブルはスクラッチに向いているのです。
CDJは、ジョグを動かす幅こそ短いですが、その短かさが故に、ターンテーブルと同じ技を出す際、細かな動きを調整するのが難しく、手の接地面も小さい為、安定感は半減しスクラッチはターンテーブルと比べてもやり辛くなります。
DJコントローラーに関しては、CDJよりも更にコンパクトなサイズのジョグ搭載モデルになると、細やかな動きを要求されるスクラッチはやり辛くなります。

▼機材別スクラッチ技のやり易さ(※個人差あります)

    ターンテーブル CDJ DJコントローラー
初級 Baby(ベイビー)
Chirp(チャープ)
CHOP(チョップ)
Transformer(トランスフォーマー)
Crab(クラブ)
One Click Flare Orbit(ワンクリックフレアオービット)
中級~上級 Two Click Flare Orbit(2クリックフレアオービット)
Delayed Two Click Flare(ディレイド2クリックフレア)
Swing Flare(スイングフレア)
Autobahn(オートバーン)
Scribble(スクリブル)
Twidle(トゥイドゥル)
Tazers(テイザーズ)

スクラッチという技そのものが元来ターンテーブルから生まれたものであり、これまで生み出されきた技の数々も殆どがターンテーブルを使う事を基準としている為、サイズ感の違うCDJやDJコントローラーでは上手くできない技も出てくるのです。

アナログレコードが再生される仕組み

スクラッチにおける「操作性」という点で、ターンテーブルと、CDJやDJコントローラーの違いについてお話しましたが、アナログとデジタルではスクラッチの出音も多少変わってきます。
サイズ、操作方法は共通のアナログヴァイナルとDVSのコントロールバイナルでは同じターンテーブルでも音の精度が多少変わってきます。
何故かを追求すると、音の再生される仕組みから知る必要がありました。

ここではアナログレコードで音楽が再生される仕組みとDVSの違いについてご紹介します。

アナログレコードの盤面を見ると細い溝が掘られているのが分かります。
この溝には「音楽信号」が刻まれており、音声の波形そのものの形に刻まれています。
そして、この溝にプレーヤーのレコード針(カートリッジ)が当たる事で音楽が再生されるしくみです。

この溝を刻む工程は「カッティング」と呼ばれており、その精度によっても音質は大きく異なります。
レコードは、針先がこの溝に当たることでそこに刻まれた信号を拾い、音楽信号に変換する「接触式」のメディアであり、CDはレーザー光線で信号を読み取る「非接触式」となっています。
カートリッジの針先が拾った信号の振動が、コイルや磁石などに伝わることで電気信号になり、トーンアームへと伝わってフォノイコライザーアンプで増幅され、それがパワーアンプに伝わりスピーカーをドライブする大電力を伴った音楽として再生されるのです。

対して”DVS”でのコントロールバイナルを使った音の再生方法は違います。

“DVS”とは、「コントロールバイナル」と呼ばれる専用のレコードの動きと、対応のPCDJソフトの中でプレイされる曲を「連動」させる事で、まるで本物のアナログレコードをかけるかのような感覚で操作が出来る今最もスタンダードなDJスタイルの1つです。

実際には曲が入っていないコントロールバイナルには、タイムコードが刻まれており、そのレコードとレコード針が接触する事でアナログ信号が外付けのオーディオ・インターフェイスに入力されます。 
そのアナログ信号をオーディオインターフェイスがデジタル信号に変換、PC内のDJソフトに伝わります
次にDJソフトは、そのデジタル信号となってオーディオインターフェイスを介して伝えられたレコードの動きとDJソフトのデッキ内の曲を連動させ、DJはそれを操作することにより、DJソフト内のデッキの曲を擬似的に操ることができるようになります。
DJソフト内のデッキの曲はデジタル信号となって、PCからUSBで接続されたオーディオインターフェイスに入り、そのデジタル信号はアナログの音源に変換され、DJミキサーに入力され、マスターに出力される仕組みです。

アナログレコードをプレイする上で、音質を左右する重要な役割を果たす「カートリッジ(レコード針)」は、DVSの場合だとコントロールバイナルの信号を読み取るツールであり、その音質を限りなく伝導するために重要となるのが、信号をしっかりとトレースする事です。
通常のレコード針はアナログレコード再生の為にだけ製作されているのでコントロールヴァイナルに完璧なトレースをしません。
コントロールバイナルで音楽を再生するだけならどの針でも出来ますが、「頭出し時の回転」や「バックスピン」、「クイックなスクラッチ」「素早い2枚使い」等のプレイ時にその音をしっかり再現できない場合があります。
その為、それらの問題を改善・軽減してくれるDVS専用のカートリッジも発売されています。

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前述したように、DJカートリッジ(レコード針)のトレースの違いはスクラッチにおいて大きく関わってきます。

溝に音の情報が直接刻まれたアナログレコードを使ったスクラッチは、カートリッジを通して出力される音も精度が高く、細かい手の動きに対してもバイナルの出音はしっかり反映されます。
しかしコントロールバイナルを使ったDVSは、あくまでアナログプレイのスタイルでPC内の音源を操作するシステムであり、信号の変換時による音のレーテンシー(遅延)も設定で改善しますがゼロでは有りません。
その為、同じスクラッチでもアナログとデジタルでは音の拾い方が違う為、技によっては出る音や質感が若干異なる場合があります。
今でも本格的にスクラッチのみを練習する場合は、これらを理由にアナログのバトルブレイクスを使う方も多いのではないでしょうか?
ただ、これはほぼスクラッチに関して言える事なので、普通にDJプレイでミックスをする際に感じられる事はほぼ有りませんのでご心配なく。

まとめ

いかがでしたか?
ターンテーブルが未だ多くのDJから愛される理由はまだまだ沢山あると思いますが、今回はスクラッチの操作性という点にフォーカスしてターンテーブルの重要性をご紹介しました。
ジャンルによってDJが使用するハードやソフトも多様化した現在、デジタルとアナログそれぞれに需要がある中、ユーザーである私達DJ側が自分の進みたい目標、用途に合わせてDJ機材をチョイス出来るという事は素晴らしい事だと思います。

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